YAJIO'S DOOR


万里の長城へ行こう

八達嶺

八達嶺をめざす

 二日目は、今回の旅行のメイン万里の長城だ。どうやって行くか手っ取り早く旅行社のオプショナルツアーに申し込むか、日本で色々調べたがツアーだと丸1日かかるらしい。
 いくら世界的な観光スポット万里の長城でも日程が少ないYajio達にとって丸1日取られるのはきつい。万里の長城の他に幾つか周るのだろうが他には興味ない。
 やっぱり自力で行くしかないか。北京から日帰りで行ける『万里の長城』は幾つかあるらしいが、一番無難な『八達嶺』(バーダーリン)にする。

 ━まず何で行くか、バス、列車、タクシー、リーサーチの結果は━

旅遊バス

便利で安いらしいが、よくある観光バスみたいで
時間的な拘束が長すぎる。

タクシー

機動力を発揮しそうで良いんだけれど、
料金の交渉が面倒くさそうだし大体高すぎる。

列車

チョッと時間がかかるが料金が安い、でも本数が少なくて、時間的
なロスが多そうだ、それに切符の買い方とかえらく面倒くさそうだ。

路線バス

料金も安いし時間も一番速い、でも外国の路線バスは
とても分かりずらい。
はたして八達嶺行きのバスを上手く見つけられるのか。


色々総合して考えたYajioの答えは『行き列車、帰りは路線バス』に決めた。

北京北駅まででのタクシー

 八達嶺行きの汽車は北京北駅より発着している。朝、ホテルの前からタクシーに乗る。普通だったら地下鉄を使って行くのだが、今日は時間が勿体ない。ドアボーイに頼んでをタクシーを呼んでもらう。
 ドアボーイがドライバーに行き先を告げて、Yajio達が乗り込む。するとドライバーは運転席から降りて車道に走っていく。何事?Yajio達も降りる。彼が次にとった行動はなんと別のタクシーを止めている。
 このタクシーは黒塗りのセダン、一般に街を流しているのは赤いチビッ子タクシーだ。どうやら北京北駅まででは商売にならないらしい、


『こんな朝早くにホテルのエントランスに乗り付けて居たのはお前らみたいなゴミを拾う為じゃない』『俺は市内を観光する客のチャーターを取るために待ってたんだよ』
きっと彼はそう言っている。

 そこへ、さっきのドアボーイが来て
『オイ、おやじ!テメェー、うちの客に何してんだ!俺が付けた客に何か文句でもあんのか!ワンメータでも何でも良いからサッサツと行け!乗車拒否でもしてみろ二度とうちの敷居はまたがせねーぞ!』
(多分そう行っていた。)凄いけんまくでドライバーに怒鳴りつけた。

 ドライバーは
『はい、すんません。でも今日は早起きしてやっと良い順番をとったんで、ついいい気になって、ダンナかんべんしてくだせぇ、別にわたしは、ゴミでもかまいませんから乗せます』
(多分そう行っていた。)

 再度ドアボーイは笑顔でYajio達をタクシーにエスコートしてくれ『北京北駅まで』とドライバー告げてくれた。

 Yajio達は、このドライバーが拾ってくた別のタクシーでも良かったが、全てが階級社会の中国だからか、ドアボーイは、このホテルにたむろするタクシーに対して絶対的な権力がある。権力者は絶対でなければならないのだろう。
 この手の乗車拒否はひと昔前の日本でも空港、ターミナル駅、ホテル等であったが、今では滅多にないと思う。
 
 しかしあのドアボーイのおかげで無事に北京北駅に着いた。でも、ドライバーがここに来るのが嫌がった訳がわかる。確かに駅までは近いのだが、それ以上に凄いのは駅まで入っていく道が舗装されて無いし狭い。
 おまけに違法駐車だらけで車が換われない、せっかく磨き上げた黒塗りも台無しだ、ホント気の毒な事をしたなと思う、でもチップはやらなかった。

北京北駅

 ここは、本当に分かりにくい場所にある。最初は地下鉄で行こうと思ったがタクシーで来て良かった。リーサーチによると切符は駅ではなく、駅のもっと手前で売っているらしい。
 でも一応、駅を見てくる。すると列車がすでに入線している。改札も開いている。
 今までの経験では、この場合もうすぐ列車は出発する。しかしYajioの得た情報ではまだ出発には1時間弱ある。切符を買うのに手間取ると思い早めに出て来たつもりだ。
 ひょっとしてこの後の列車か? そう思ったが、とりあえず改札のおばさんに聞いてみる。


『この列車は八達嶺に行くか?』
答えは

『行くズラ』だった

『切符はどこで買うの?』
『そんなもんここで買えるズラ』
『ホント!』
『うそ言ってどうすんだズラ、でもあんた達どこに行きたいのズラ?』
ここで【万里の長城】の写真を見せる。おばさんは何か帳面を取り出し手際よく書き込む。
『ハイ切符だズラ』

この間やり取り1分位か、相手は全て北京語、もちろんYajioは日本語しか話せない。でもなんとなく会話は成立してしまう。
 いよいよ列車に乗り込む。六人がけと四人がけのボックスシートとが通路を挟んで配置されている。シートは直角で殆ど板状だ。
 週末のせいか初めはガラガラだったが、出発する頃には殆どの席がうまってしまった。

いよいよ出発

 汽車はゆっくり走り出す、これから約2時間の列車の旅だ。しかし八達嶺は終点ではない。外国の列車を使うとき、目的地が終点の場合は楽なのだが、それが途中で下車しなければならない時は厄介である。
 現地の言葉を理解できる人にとっては造作もない事だろうが、Yajioのような日本語オンリーの旅行者には難問である。


今回得た情報では、
発達嶺まで約2時間、長城は青龍橋駅と八達嶺駅の間にある。
最寄の駅は八達嶺ではなく青龍橋。近くになると長城らしきロケーション。
しかしこれは八達嶺ではなく、『居庸関駅』、その先の『青龍橋駅』で降りる。

とにかく着くまで2時間は有る、とりあえずビールで乾杯。この路線はロケーション的にもお勧めです。近代都市北京を抜けて、商業都市、近郊のベットタウン、工業都市、農村地帯を抜けて山岳地方へ、僅か2時間で中国の現状を見ることが出きる。

車窓に長城

 北京を抜けて2時間弱まさしくあれは『万里の長城』。しかしあれはブラフだ。事前の情報が無ければ、思わずここで降りてしまいそうだ。そのくらい長城が近くに見える。じっと我慢して次の駅を待つ駅に着いた。

『よし!降りるぞ』
 Yajjo達は列車から降りた。でも寂し過ぎる世界的な観光地なのに下りるのはYajjo達だけだ。
『いや、違うここじゃない』
一度降りたが、車掌に尋ねる
『八達嶺はここか』
しかし彼女は我々の言葉を理解してくれない。それでも近くの人を呼んでくれた。Yajjoは『万里の長城』の写真を見せる。

すると車掌は
『バカこくでねえ、こんな何もねえ所で降りてどうすんだ、それだったらまだ先だあわてんじゃねぇ!』
というようにYajjo達を列車に戻した。しかし車窓に長城が見えてからいい加減たっている
『それじゃ次の駅か?』
時間からしてもう直ぐだ。駅に着いた『青龍橋』、中国式に略字で書いてあるが間違いなく『青龍橋』と書いてある。
『よし!降りるぞ』
再びYajjo達は下車する。すると先ほどの女車掌が
『NOー!あんた達は八達嶺までいくんでしょう、ここじゃないのよ、もう直ぐだからおとなしくしてなさい』
笑顔であしらわれ席に戻されてしまった。
 
 この先は確かに『八達嶺』しかしYajjo達の目的地は『青龍橋』なのだ。 なまじガイドブックに載っていた観光地、万里の長城『八達嶺』を強調したせいか、この女車掌はYajjo達は『八達嶺駅』に行くものと決め手かかっている。
 リサーチでは『八達嶺駅』ではなく『青龍橋』で降りよと、ことごとく言っている。『八達嶺駅』に惑わされるな、そう言っている。なぜ『青龍橋』なのかは分からないが、とにかくここで降りなければ、しかしデッキの外には例の女車掌が待ち構えている。

 

敵の目を盗んで

 どうすれば良いのか。しかし、さっつきか、らえらく長くこの駅に停まっている。
『そうだ!思い出した、この列車はここでスイッチバックするんだ』
鉄道マニアなら機関車の交換風景等、面白いのだろうがYajjo達にとっては時間ロスでしかない。女車掌のスキをみて脱出する。無事に脱出成功。汽車を降りた乗客の後に付い行く。
 乗客達は八達嶺駅の改札を、通らずに今来た線路の上を戻っていく。やっぱり間違い無い『万里の長城』は
青龍橋駅と八達嶺駅の間にあるのだ。
 八達嶺駅とその前の駅は勾配がきつ過ぎるのだ。それで青龍橋まで一度行って機関車を後ろ前取り替えてスイッチバックして登って行く

 線路の上を歩いていて確信した。実際に青龍橋駅と八達嶺駅の間
には駅らしき物が有るのだ。しかしYajjo達の乗った列車はここには止まらなかった。ここをスイッチバックの基点にすればいいものをと思ったが、地形からして無理なのだろう。
 それならなぜここに駅が有るのか。世界遺産である、『万里の長城』を見学する為に、VIPが訪れた時の特別駅なのか?
 一緒に降りた乗客たちは、みんなその幻の駅で、そこの係りの人ともめいてる。何しろ中国は大きい、一緒に降りた人民達もここは初めてなのだろう。Yajjoと同程度の知識でここに来たのだろう。

 Yajioはその時、ここの地理を大体、把握できた。幻の駅の手前、土盛りした線路の下に道路が走っている。山の中にしては立派な道路だこの道なら大型バスも優にすれ違える。間違い無い、この道を登っていけば万里の長城に行ける。
 Yajio達は、線路の下の舗装路に降りる。線路の上を歩いてきた人民達は今来た線路を戻る者、Yajio達の後を着いてくる者、幻の駅でまだもめいてる者、幾つかに分かれた。でもYajioは確信ていた
『長城に行きたければ俺の後を着いてこい!!』と。


北京北駅
八達嶺行きの列車の始発駅だが、田舎の駅みたいだ。
とても小さくてわかりにくい。
場所にあるためタクシーで行った方が良い。 
切符売場は手前にあるらしいが、当日この場所の左側の改札口で
そこにいた改札係のおばさんから買えた。
青龍橋駅
ここで機関車を付け替えて、
列車はスイチバックをゆっくり
登っていく
しかしここから線路を歩いた
方が速い。
すぐ先にトンネルがあるが
迷わず進む。
青龍橋駅でスイッチバックの為、結構長く停まる。早めにトンネルを潜ってしまおう。
トンネルを抜けると先に駅みたいな建物が見えるがその手前ガードの下の道路を登って行くと八達嶺の下の
入り口がある。
 当日、北京北駅の改札口で買った八達嶺までの二人分の切符。
昔の国鉄時代の、車内で精算する乗越し切符みたいだ。
料金は二人で九元だった。
 

八達嶺レストハウス

 坂道を程なく行くと建物が見えてきた。車やバスも止まっている、八達嶺に間違い無い。でもまだ長城らしきものは見えない。建物の奥まで進むとチケット売場がある、ここでチケットを買って、入場するらしい。
 しかし実際の入場ゲートはここより更に上まで登って行った場所にある。

 ここにはレストラン、お土産や等があるだけ、丁度日本の観光地にある、神社やお寺の参道といった感じて゛、乗物に乗ってきた人もここからは歩いて行く。
 アーケドになった坂道は、両側に間口半間ぐらいのお土産やが、軒を連ねて居る。売っている物は何十年も前の日本の観光地で売っていた様なガラクタばかり。
 
よく日本人が団体旅行で行くと、こういった土産物屋で、しつこくされたという話を聞くが、Yajio達は、何時も二人で行くせいか、そのような事は無い。たんに貧乏に見えるだけか?
 (ちなみにここのトイレは有料、上の入場ゲートの方は無料でとても綺麗だった。)

 

万里の長城

 さて、お目当ての長城はどうか、『スゴイ!すごすぎる』
 
ゲートの外から左右に連なる長城を見てそう思う。そして中に入り実際に長城を歩くと更に感激は強くなる、
 よく観光地の名所など、遠くで全景を見ると良いと思うが中に入ると『なんだこんなもん』と思う事が多いが、ここは違う。遠くから見るパノラマも凄いが、その中に身を置いて目線でみる風景はそれ以上に迫力がある。
 もちろん山頂に建っていることもあるのだろうが、長城の歴史、背景等、思い浮かべると思いは強くなる。
 しかし現在ある八達嶺の長城は始皇帝が立てたもでは無く、始皇帝よりずっと後に立てられたと、日本に帰ってきたから知った。
 ここは正面ゲートから入ると長城が左右には走っている。左は凄く急(途中、手をついて登らなければならない程、急な階段がある)だがすいていて歩きやすい。右は比較的緩やかな勾配だが物凄く混んでいた。Yajio達は左側の急な方に登っがとちらにしても、ミネラルウォーターを持って行くことをすすめる。

帰りのバス

 今日は、もう一箇所行かなければならないので、そろそろ帰らなければならない。帰りは路線バスで帰る予定だ。しかしバスがどこから、何時に出るのかまったく分からん。
 北京行きの路線バスは『919路』これだけは事前に調べてあった。とにかく919を探す。
 それにしても、ここにはバスが沢山停まっている。試しに一台のチビッ子バスの運転手に聞いてみる。
 彼は『このバスは違うよ、919ならもっと向こうだ』と駐車場の入り口を指差す。その方向に歩いて行くと、《919路バス乗場》確かに有った。ちゃんと屋根までついているバス乗場だ。
 だが、よく見るとだいぶさびれている。切符売場らしき小屋があるがすでに使われている形跡は無い。ひょっとしてこの路線は廃線になったのか?
 
 しかしまいった、とりあえず着いてしまえば帰りはどうにかなるだろうと思ったが、どうにもならなくなりそうだ。汽車で帰れば良いのだが、それでは時間の節約の為に考えたプランが全て台無しになる。帰りの汽車は夕方にならなければ来ないのだ。

 すがるような思いでこの場所の管理室みたいな所のお姉さんに
『北京行きの919路バスはどこからでるの?』
と聞いてみた。何時もの通りなかなか理解してもらえず、困ったが紙に書いたりして何とか分かってもらえた。
お姉さんは
『そのバスなら、あそこから出ますよ』
直ぐ前を指差した。 
『あそこ?』 
『そう、あそこですよ』
しかしそこは、ただの駐車場。でも彼女が言うのだから間違い無い、言われた通りの所でバスを待つことにする。
すると、彼女が部屋から出てきて
『ここじゃなくて、そこよ』
『エー ホントに?』
再度確認する。
でも、そこはただの通りで何の目印も無い、しかも坂道の途中だ。まだ今いる場所の方がはるかにバスが止まるのに適しているような気がする。
彼女は笑顔で
『ホントですよ、冗談で言ってませんよ』
と言って戻っていった。
 たしかに、北京へはこの道を下って行くのだろう。するとバスは八達嶺の入り口である、レストハウスには入ってこないのか。
 しかしYajio達はどうしてもその場所でじっと待つことができなくて、更にその道のもっと上のスペースのある場所に移動した。


見つけたぞ919路バス

 ちょうどここだったら大型バスでも止まれそうなスペースがあった。Yajio達はここでバスを待つことにした。すると一台の軽のバン近づいてきて
『北京まで八千円で行くよ』
と声をかけてきた。どうやら白タクのようだ。
『二人で八千円?』
『違う一人八千円だよ』
『高いよ!』
『OK!それじゃ二人で八千円で良いよ』
ドライバーは言っているが、最初からべらぼうな値段を言ってくるヤツ等信用できん、だいいち顔が貧乏くさくて、せこそうだ。それにバスがもうじき来る頃だ。

 程なくして、バスが坂道を下って来た、フロントガラスに『919路』と有る間違えない、このバスだ!手を上げたらバスはすんなり止まった。
 乗り込むと丁度よく席が二つ開いていて座る事が出来た。バスは走り出すと少し行った坂の途中で再び停まった、ここは初め教えられた場所だった。新たに四人位乗ってきた、やっぱりここが正規のバス停なのだ。
 しかし、フライングしたおかげで最後のシートをゲットする事が出来たので良しとする。それにしてもこのバスは日本だったらとっくの昔に廃車しても良いくらいのシロモノだった。
  これじゃ、真冬や真夏にはとても乗れないなと思ったがとりあえずこれで北京に帰ることが出来る。事前情報の通り汽車より時間がかからなかったが、到着した北京の『徳勝門』バスターミナルを見て、ここで行きの『919路』バスを見つけるのは至難の業だなと改めて思うYajioだった。どうにもYajioは路線バスが苦手である。

 ちなみにここ『徳勝門』が発達嶺行きの出発地になるのだが到着のバス亭と出発ターミナルは少し離れている。
 それとこの路線バスの女車掌は少しきつ過ぎるくらいの調子で、満員のバスの車内で、乗客に対して切符は持ってるかと、聞き周っていた。
 しかし終点のバス停に着いたら、一番先にサッサッと降りてしまった。ワンマンバスで無いのだから、降りるときに切符の確認をするほうがはるかに合理的だと思うのだが中国では通用しないらしい。終点に着いてバスがエンジンを切ればそれで職務も終わりなのだ。

 日本に帰ってからも不思議だったのは、八達嶺のパーキングにあったバス乗場だ。屋根付きのちゃんとしたバス乗場だったし『919路』とちゃんと書いてあった。
 あんな何にも無い、ただの道の途中で人を乗せるよりよぽど良いと思うのだが。それともYajio達が行った時はたまたまシーズンオフで、オンシーズンにはちゃんとあの場所から出発するのかもしれない。